社会福祉法人の設立
社会福祉法に基づく社会福祉事業を行うことを目的に設立した法人です。
社会福祉法人は非常に公益性の高い法人とされ、税制上の優遇措置が設けられています。しかし、設立要件が厳しく、簡単に設立できるわけではありません。
①名称
法人や施設の名称は、理事長等の個人名や団体名を引用したものは認められません。法人名と施設名は異なった名称でなければいけません。
②所在地
原則として、施設の所在地が法人事務所の所在地となります。
③事業内容
事業目的が、社会福祉法第2条に規定される第1種社会福祉事業・第2種社会福祉事業と、社会福祉に関わる公益事業、収益事業(ただし、その収益は社会福祉事業と公益事業の運営にのみ当てられます)に限定されています。
【第1種社会福祉事業】
特別養護老人ホーム・児童養護施設・障害者支援施設・救護施設など
【第2種社会福祉事業】
保育所・訪問介護・デイサービス・ショートステイなど
-資産-
基本財産を有することが求められます。
① 社会福祉施設を経営する法人
- すべての施設について、その施設の不動産を基本財産としなければいけません。
- 基本財産すべてについて所有権を有しているか、または国・地方公共団体から貸与・使用許可を受けていなければいけません。基本財産のすべてが貸与や使用許可を受けている物件の場合には、別に1,000万円以上に相当する資産(現金、預金、確実な有価証券、不動産に限る)を基本財産として有している必要があります。
② 社会福祉施設を経営しない法人
- 原則として1億円以上の資産を基本財産として有していなければなりません。
③ 居宅介護等事業を行う場合の特例
- 一つの都道府県の区域内においてのみ事業を行う場合、1,000万円以上に相当する資産を基本財産とすることで足りるものとされます。
-資金-
基本財産以外に下記の資金を現金・預金等で準備する必要があります。
① 運転資金年間事業費の12分の1以上に相当する額
ただし、
・障害者総合支援法上の事業を主として行う法人:12分の2以上
・介護保険法上の事業を主として行う法人:12分の3以上
② 建設等自己資金を必要とする額
③ 法人事務費必要とする額で、最低100万円以上
-役員等-
★評議員:理事の員数(6名)を超える員数 7名以上
(経過措置として、平成27年度収益が4億円以下の法人は、平成29年4月1日から3年間、4名以上)
- 社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者でなければいけません。
- 理事・監事・会計監査人・職員との兼務は出来ません。
- 各評議員・各役員について親族等特殊関係者にあたる者は、評議員になれません。
- 評議員会にて、法人運営に係る重要事項を決議します。
~ 親族等特殊関係者とは ~
① 配偶者・3親等内の親族
② 事実上婚姻関係と同様の者、その者と生計を同一にする3親等内の親族
③ 雇用される者、その配偶者、生計を同一にする3親等内の親族
④ 評議員から受ける金銭等により生計を維持する者、その配偶者、生計を同一にする3親等内の親族
⑤ 役員等となっている他の法人(社会福祉法人は除く)の役員等・職員
-理事:6名以上-
理事のうちには、次に掲げる者が含まれなければいけません。
① 社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
② 当該法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者
③ 当該法人が施設を設置している場合には、当該施設の管理者
理事のうち、各理事と親族等特殊関係者が3人を超えて含まれてはいけません。また、各理事並びに当該理事と、親族等特殊関係者にある者が理事総数の3分の1を超えてはいけません。
理事会にて、業務執行の決定、理事長等の職務監視を行います。
理事長は、法人を代表し業務を執行します。
-監事:2名以上-
- 監事には、次に掲げる者が含まれなければいけません。
- 社会福祉事業について識見を有する者
- 財務管理について識見を有する者
- 監事のうちには、各役員と親族等特殊関係者が含まれてはいけません。
- 理事の職務執行を監査します。
-法人設立の流れ-
① 定款の作成
② 所轄庁へ認可申請
都道府県知事または指定都市長・中核都市長が所轄庁になります。
(ただし、事業が2以上の都道府県の区域に渡る場合は厚生労働大臣が所轄庁になります。)
③法務局へ設立登記申請
設立登記の後、税務署や各都道府県税事務所・年金事務所等へ、税金・社会保険・労働保険関係の届出も必要です。
-社会福祉法人設立登記必要書類一覧-
- 理事長の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)
当事務所が用意できる主な必要書類
- 定款
- 理事長の選定を証する書面
- 理事長の就任承諾書
- 資産の総額を証する書面(財産目録)
- 委任状
- 印鑑届出書
- 印鑑カード交付申請書